南三陸町を出たのは午後6時ごろになってしまった。
漁港訪問の後、中瀬地区の仮設住宅も訪れたので予定よりも大幅に遅れた。急いで長洞の元気村に向かわねばならない。
国道45号を突っ走ったが、“東北”は広い。ようやく陸前高田市域に入った時はとっぷりと暮れていた。
応急工事で復旧した気仙大橋を越えると高田市街に入る。右手には水没した高田松原があるはずだが何も見えない。「提言6」に書いてあるように、ここは漆黒の闇の世界だ。
闇の中の国道を走るのは怖い。信号はない。街路灯もない。街がないから灯りが皆無なのだ。
ガードレールがぼうっと見えるのは少し役に立つ。必死に方向感覚を研ぎ澄まし、道路の存在を確認しつつ前進するしかない。時々壁のように感じるのは何かの残骸。
遠くにビルがあるのかと思わせるのは、コンクリート類、鉄や金属類、木質類に分けられた瓦礫の山々だ。
地盤が下がっているので、近くを海水が浸しているのが分かる。もし、満月が水面を照らしてでもいれば、フラフラと誘い込まれそう。
提言したように、この視界の中に仮設の商店街が出現すれば、オアシスのように感じるだろう。
ただし、10軒や15軒のスケールでは、魔性を漂わせる闇の世界に紛れてしまうのではないか。
難しい問題であることを実感する。
三陸沿岸の市街地にはもともと大きな商業ストックがあった訳ではない。巨大な爪痕を押し戻し、乗り越える先頭に立つにはやや非力に見える。
三陸沿岸の市街地にはもともと大きな商業ストックがあった訳ではない。巨大な爪痕を押し戻し、乗り越える先頭に立つにはやや非力に見える。
一方、被災農地の復旧には、震災前からの構造的な農業存立の課題が被い被さっている。
とすれば、三陸の復興は、多くのものを奪い去った海から取り戻すことから始めるのがふさわしいのではないか。なにしろ、夜が明ければあの日とはうって変わって、きらきらと明るい海原が広がるのだから。
2011・09・15 a.y| 陸前高田市(旧脇ノ沢漁港周辺)から広田湾を望む |
0 件のコメント:
コメントを投稿